生活習慣を改善して 血液サラサラ・血管ピチピチに!
監修:栗原毅先生
栗原クリニック東京・日本橋 院長
前 慶應義塾大学特任教授
病気ではないけれど、何となく調子が悪い...。
こんな健康と病気の間の状態、つまり"未病"の人が増えているようです。
健康と病気は連続しており、健康からある日突然病気になることはありません。大切なのは、"自分の健康は自分で管理する"意識を持つこと。
「医師」に頼るのではなく、あなたの「意思」が大切です。
まず自らチェックを!
日常の食事や運動・睡眠・ストレスなどの生活習慣は、血液の流れにも大きく影響します。生活習慣の乱れから引き起こされる糖尿病、脂質異常症、高血圧症といった、いわゆる生活習慣病の発症と、血液・血管のコンディションは密接に関係しているのです。早速、あなたの血液の状態を下の『血液サラサラ判定テスト』でチェックしてみましょう。
ドロドロと判定された方は、何が原因になっているのかを確認して、生活習慣を見直すことが大切です。
また、サラサラの判定だった方も油断は禁物。休むことなく全身を流れる血液の状態は、生活習慣によって常に変化しています。
血液サラサラ判定テスト
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果物が好きでよく食べる
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食事を食べるのが早い
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缶コーヒーやジュースをよく飲む
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疲れをとるために休日は遅くまで寝ている
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いつも血圧が高めである
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ストレスを感じることが多い
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疲れているのに眠れないことが多い
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タバコを1日10本以上吸う
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就寝時刻は午前0時過ぎが多い
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10年前と比べて5kg以上太った
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紫外線を浴びることが多い
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甘いものには目がない
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お酒が大好きで飲みすぎることが多い
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朝なかなか起きられない
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サラダや果物が好きだが、煮野菜は食べない
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夏でも手足が冷えている
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朝食はほとんど食べない
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週に5回以上外食する
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どんぶりや麺類等の一品モノをよく食べる
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階段よりエスカレーターやエレベーターを使う
いまの生活をキープしつつ、今後も食事などの生活習慣に気をつけて、健康を維持しましょう。
食事や運動など、生活を少し改善すれば、サラサラ血液に。
いまの状態では、血管の老化が進む可能性があります。生活習慣を改善しましょう。
動脈硬化は自覚症状がありません。早めの生活習慣の改善をおすすめします。
血液と血管はこうなっている!
血液の多彩な働き
私たちの身体を流れる血液は体重の約8%。体重60㎏の人であれば、約5リットルの血液が全身をかけめぐっている計算になります。
血液の主な役割は、下記の3つです。
1.酸素・二酸化炭素の運搬
2.細菌の除去や、止血などの生体防御
3.体温調節など、体内環境の維持
また、血液は液体成分の「血漿(けっしょう)」と細胞成分である「血球」に分けられます。それぞれの分類と働きを下の図にまとめました。
血管はただの管ではない
血管は単なる血液の「通り道」ではありません。血液循環を滞らせないようにサポートするのが血管です。
血液循環のスタートは心臓です。血管は、心臓から出る弾性に富んだ太くて強い動脈と、太い血管から枝分かれして細くなり、細胞組織で酸素や栄養素、老廃物などの受け渡しを行う毛細血管、役目を果たした血液が心臓に戻るための静脈の3種類があります。
血管のほとんどが毛細血管で、血液の大切な役割も、主に毛細血管で行われています。全身の血管を繋げるとなんと約9万km(地球2周余り)もの長さにもなります。
血液は「健康のバロメーター」
実際に、血液の流れをMC-FANという装置を使って見ることができます。
これは、人工的につくった毛細血管モデルに、採取した血液を流し、顕微鏡で2000倍に拡大しながら血流を見るものです。
血液の流動性を見れば、いまある疾患も、まだ健康診断結果に出ていないような小さな問題も一目瞭然。それでは実際に画像を見てみましょう。下の画像の中央に並んでいるのが、毛細血管と同じ幅7ミクロン(7/1000mm)の通路です。
流れの悪いドロドロ血液とは、赤血球や白血球がうまく変形できず、毛細血管を通りにくくなったり、血小板が必要以上に凝集して詰まったり、白血球が粘着しやすくなった状態にある血液のことです。
ドロドロでも状態はさまざま
血液のドロドロ状態は、食事や飲酒、過労、ストレスなどによって具合が異なります。同じドロドロでも状態はさまざまです。
ネバネバ血液
血糖が増えると赤血球の膜に作用して、柔軟性が低下し、変形能が低下します。すると、細い血管内をスムーズに通ることができなくなります。また、本来はくっつき合わない性質の赤血球が、塊になることでネバネバに。血糖値が高めの人は要注意です。
ベタベタ血液
過労や寝不足、ストレスが続くと白血球の粘着性が高くなり、白血球同士がくっついて血管壁につきます。これが、血液の流れを悪くする原因に。
ザラザラ血液
アルコールや糖質の摂りすぎは、血小板の凝集性と粘着性を高めます。また、中性脂肪の燃えかすであるレムナント量が増えると、より血小板の凝集能を高めてしまいます。血中脂質の値が高い人は要注意です。
行き着く先は「動脈硬化」
日本における三大死因は悪性新生物(がん)を筆頭に、心疾患、老衰と続きます※1。また介護を必要とする主な原因として、脳血管疾患があげられます※2。
これらは、生活習慣が密接に関係していて、とくに心疾患と脳血管疾患は、血管の老化、つまり動脈硬化によって起こる病気といっても過言ではありません。
本来、健康な人の血管は、柔軟性、伸縮性がありますが、それが失われて血管全体が硬くなったり、内腔が狭くなった状態が動脈硬化です。
※1 厚生労働省 令和4年人口動態統計(確定数)の概況
※2 厚生労働省 令和4年国民生活基礎調査の概況
ドロドロ血液は血管壁に負担をかけ、傷つけます。その血管壁の傷口からLDL(悪玉)コレステロールが入り込み、肥厚し、もろくなります。命のポンプである心臓や、全身の機能をつかさどる脳の血管がこのような状態にあると、ある日突然につまったり、破けるといった、命に関わる重篤な疾病を引き起こすのです。これを予防するには、原因となっている食生活の乱れや、生活の不摂生などの生活習慣の改善から始めなければなりません。
血管若返り大作戦!「オサカナスキヤネ」
サラサラ血液・ピチピチ血管には、まず、食生活の見直しがとても大切です。基本は栄養バランスを考え、1日の適正エネルギーを守りながら3食きちんと、よく噛んで食べること。主食・主菜・副菜・汁物の定食スタイルを取り入れると、バランスがとりやすくなります。オススメは、1日の食事の中に、上手に取り入れて欲しい8種類の食品。「オサカナスキヤネ」と覚えましょう。
そして、気をつけたいのが糖質の過剰摂取です。ごはんやパン、お菓子、果物といった糖質の摂りすぎは中性脂肪を増やします。中性脂肪はメタボの元凶。糖質は、総摂取エネルギーの50%程度を目安にし、適量を守りましょう。
運動も忘れずに
サラサラ血液、ピチピチ血管づくりには、運動を継続することも大切です。ジョギングやウォーキングなどの20分以上の有酸素運動は心臓や肺の機能を高めたり、中性脂肪や体脂肪を燃焼してくれます。オススメは、ウォーキングをしながら、おなかを凹ませる動作を加えるドローイン※ウォーク。おなか周りの体幹部の筋肉を刺激することで、おなかが引き締まり、消費エネルギーもアップします。
食事のアンバランス、運動不足など、わかっていながら不摂生な生活習慣を続けていると、血管の老化は静かに知らないうちに進行していきます。
本物の健康力を手に入れるため、今年は血液と血管に注目し、食事や運動習慣を見直してみてください。
※ ドローイン(draw in):「引き込む」ということ
おすすめ!「ドローインウォーク」のコツ
- 背筋をのばしてちょっと息が弾む程度にウォーキングする。
- ウォーキングしながら、おへそを中心におなか全体を凹ませ、背中にくっつけるイメージで内側に引き込む。
これを息を止めないで5秒間キープし、再び普通のウォーキングに。1分間に1回程度これを繰り返す。10回ほどでも毎日行えば効果が期待できます。