
水虫の種類や治療法
予防法など、
Q&A形式で解説します。
監修:東邦大学医療センター大橋病院
皮膚科 元教授 斉藤 隆三 先生

水虫とは、カビの一種である白癬菌が皮膚の一番外側の角質層に寄生して起こる病気です。
角質層は、外部の刺激や雑菌から体を守るためにとても強固にできていますので、菌がついただけですぐに水虫に感染するわけではありません。
しかし、白癬菌の生命力は強く、一旦住みつくとなかなか死滅しません。
その白癬菌が、傷ついた角質から入り込んだり、繁殖しやすい環境で増殖したりして水虫を発症・悪化させます。
「水虫」というのは俗称で、医学的に正しい名称は「足白癬」といいます。
この名がついたのは、江戸時代の田んぼ仕事に由来します。田んぼの仕事をする季節になると水疱ができたり、ムズムズとかゆくなったりすることがあります。
当時のことですから、カビが原因だとはわからず、田んぼにいる正体不明の虫に刺されたと考え「水虫」と呼ばれるようになりました。この俗称が現在でも広く使われているようです。
「白癬菌」は皮膚の角質層に感染するカビの一種で、汚れや高温多湿の環境(温度15℃以上、湿度70%以上)を好みます。
白癬菌の生命力は強く、はがれ落ちた皮膚の破片の中でも生きているといわれます。
水虫になっている人の皮膚や爪に触れることで感染しますが、直接触れる以外にタオルやバスマット、スリッパなどを共用するなど、物を介して感染することがあります。
水虫のタイプと主な症状は以下の通りです。
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【趾間型】
趾間(足指の間)の皮膚がふやけてジュクジュクする状態になり、やがてびらん(皮膚が割れたりむけたりする)が見られるようになります。かゆみが強く、びらんになると痛みもでます。
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【小水疱型】
足裏などに赤い発疹や、半米粒大の小水疱(小さな水膨れ)ができます。密集したり輪のように配列したり、出方はさまざまです。夏に多く見られるタイプで、かゆみを強く感じます。
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【角化型】
足底全体の皮膚が乾燥しカサカサになります。角質が増殖して厚くなっているもので、冬もかかりますが、夏に悪化することが多いです。かゆみが少ないため、単なる乾燥と見過ごされることもあります。
水虫ができる場所は足だけとは限りません。頭や体部にもできる可能性があり、白癬菌が寄生した場所によってそれぞれ俗称があります。
例えば、頭に感染した場合は「しらくも」、股間では「いんきんたむし」、手なら「手白癬」です。体部にできるのは「たむし」、形が銭に似ているので「ぜにたむし」ともいいます。

「足がかゆい」「ポツポツとした穴ができた」からといって、すべて水虫とは限りません。手や足にできる皮膚病は水虫とよく似た症状のものが多いのです。
- 【接触性皮膚炎】
- 原因物質に触れることで起こる皮膚病、いわゆるかぶれのことです。かゆみや痛みがあります。
- 【貨幣状湿疹】
- 円形の湿疹病変で、ジュクジュクした腫れと皮膚のはがれがみられます。乾燥する冬にできやすく、かゆみを伴います。
- 【カンジタ症】
- カンジタ菌の感染症。皮膚が赤くなったりはがれたりする他、小膿疱(ブツブツ)やびらんがみられます。夏に汗をかくときに多く、かゆみを伴います。
- 【掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)】
- 小さな水膨れを多発し、膿をもつものに変わります。膿疱内に細菌はみられませんが、難治性の皮膚病です。
他にも、アトピー性皮膚炎や脂漏性湿疹など、症状を見ただけでは判断の難しいものがあります。
間違った手当てをするとかえって症状を悪化させるので、正しい診断、正しい薬剤の選択をするため医療機関を受診するようにしてください。
水虫の原因菌「白癬菌」は汚れと高温多湿を好みます。気密性の高い最近の住宅はカビにとっても暮らしやすい環境です。
寄生するチャンスをうかがっている水虫菌を寄せつけないようにするには、清潔と乾燥を保つのが一番です。
家族に水虫患者がいる場合には特に注意が必要です。
- ⚫︎患者本人はもとより、家族も足を清潔に。手洗いうがいと同様に、帰宅後に足を洗う習慣をつけましょう。
- ⚫︎こまめな掃除と湿気の除去で、家の中に潜む水虫菌をできるだけ減らしましょう。洗面所・脱衣所などの水回り、スリッパや寝具はいつも清潔にし、乾燥を心がけましょう。
- ⚫︎周りにうつさないためにも、水虫患者はしっかりと治療しましょう。
水虫は完治させるまで時間のかかる病気です。まずは、症状に合わせた薬剤を選ぶことが大切です。
角質層に成分がよく浸透して、効果を発揮できる薬剤を選びましょう。
カサカサの水虫には液剤を、ジュクジュクの水虫にはクリーム剤や軟膏がよいでしょう。
腫れや痛みのあるときはその原因をとり除いてから手当てをします。
かゆみが消えたからといって、完全に治ったわけではありません。症状がなくなった後も、約1か月間は、根気よく薬剤をつけ続けましょう。
また、症状を悪化させないよう普段の生活にも注意しましょう。
水虫治療のポイントは以下の4つです。
- ① 冷涼
- ② 乾燥
- 水虫は高温多湿が大好き。炎症や腫れのあるときは、乾燥と同時に患部を冷やしましょう。
- ③ 清潔
- 患部はいつも清潔に。石鹸やボディソープなどで洗うようにしましょう。
- ④ 根気
- しぶとく、再発しやすい水虫。自覚症状がなくても約1か月間は治療を続けましょう。根気が大切です。
正しいフットケアも水虫治療にはかかせません。足を洗うときゴシゴシこすってはいませんか。
力を入れすぎると皮膚が傷つき、水虫菌が入りやすくなってしまいます。
石鹸を使い、水やぬるま湯でやさしくなでるように洗いましょう。洗い終わったら清潔なタオルで水気を拭き取り、薬剤を塗布してください。
- ・足指をあまり動かせない
- ・足全体がズングリ丸い
- ・指と指の隙間がない
- ・指先が太くて短い
- ・外反母趾である
といったタイプの人は水虫にかかりやすく、また治りにくいのです。
入念なフットケアで足指を清潔に保ち、こまめな掃除と湿気の除去などの予防策で、水虫菌を寄せつけないようにしましょう。
白癬菌というカビの一種が角質層に寄生して起こるという感染経緯から考えると、遺伝と関係があるとはいえません。
ただ、同じような生活習慣があり、タオルやスリッパなどを共有していることが多いため、家族間での感染は多くみられます。
子どもや女性も例外ではありませんので、感染を広げないように注意をはらってください。
水虫になったら、的確な治療を根気よく続けることが大切です。